・2019年6月4日例会


6月4日(火)

壮麗なギリシャ様式建築・南都銀行本店

古都に息づく絢爛たる近代建築群を巡る

JR奈良駅―南都銀行本店―奈良女子大学―

旧奈良少年刑務所―旧奈良市水道局計測室―

奈良国立博物館―浮見堂―奈良ホテルー

奈良教育大学―京終駅

 

奈良市といえば東大寺に代表される神社仏閣等に注目が集まりますが、奈良市には明治から昭和前期に造られた優れた近代建築物の傑作があります。本日はこれらの近代建築群を解説付きで巡るという意欲的なコース企画です。

 

本日の天気は晴れ。久しぶりに天気を気にすることのないウオーキング日和になりました。JR奈良駅10時集合。出発式は近代建築として代表的な旧奈良駅舎前。会長の挨拶に続いて本日のリーダーの尾花からコース説明がありました。また出発前にはこの旧奈良駅舎について尾花リーダーから詳しく解説がありました。

 

解説によりますと、「1934年(昭和9年)竣工で、経済産業省から「近代化産業遺構」の指定を受けた、寺院風和風と鉄筋コンクリート造りの折衷造りの美しい建物です。駅周辺の高架事業の中で、2009年曳航工事により元の場所から18m程東北のこの位置に移動し、現在は奈良市総合案内所として使用されています。」とのこと。

三条通を東へ。東向通りの曲がり角に南都銀行本店があります。辰野金吾の弟子の長野宇平治の設計によるイオニア式の柱が美しいギリシャ風の近代建築で、過剰な装飾性が感じられず、むしろ洗練された美しいデザインの建物です。大正15年に建てられたものとのこと。普段は気にもかけないところですが、改めて見るとなかなか威厳があり、かつ古さを感じない素晴らしい建物ですね。

東向き通りを通り県文化会館前で、先ほどの南都銀行の説明が尾花リーダーからありました。次は奈良女子大に行きます。

奈良女子大の正門から中に入ると、正面に明治42年に奈良女子高等師範学校の本館として建てられた木造の品のある建物が見えてきます。この建物の前で尾花リーダーから詳しいこの建物の説明がありました。

ここから北に向かいます。閑静な住宅街を通り、多門城跡に建つ若草中の横を登っていくと、奈良少年刑務所に到着です。周囲を4・5mの高さの塀で囲まれたヨーロッパのお城を思わせる建物です。尾花リーダーの解説によると、この建物は明治41年に竣工。辰野金吾の弟子の山下敬二郎による設計で、ロマネスク建築の意匠を用いて、ヨーロッパ風の城を思わせる建物です。

この刑務所の特長は、監視所を中心とした放射状に舎房(受刑者が入る部屋)が配置されていますので、一人の看守で多数の舎房が監視できるため、とても合理的な造りになっていたとの事です。

この建物は今後ホテルとして活用されることが決まり、2021年に星野リゾートにより小規模の高級ホテルとして生まれ変わるようです。すばらしい遺産を活用しながら保存するとはなかなか素晴らしいアイデアですね。

ここからは昼食場所の東大寺南大門横の春日野園地を目指します。

 

 

途中北山十八間戸の向かいにあるレンガ造りの旧奈良市水道局計測室を見学します。大正11年に市が水道を創設した際に建てられた奈良市浄水場からの水量を計測する施設だったそうです。

修学旅行生や外人観光客でごった返している東大寺南大門前の参道を通り春日野園地に到着。ここで昼食休憩です。

 

昼食後は恒例の蘊蓄話が尾花リーダーからあり、午後のスタートです。

 

浅茅ヶ原で、この西側にある奈良ホテルと、次に立ち寄る志賀直哉旧家の説明が尾花リーダーからありました。

奈良ホテルは明治42年開業の奈良県を代表するホテルで、辰野金吾の設計によるものです。ドイツ様式を採用した和洋折衷の建物で、「関西の迎賓館」と呼ばれているそうです。また志賀直哉旧家は昭和4年に自らの設計による数寄屋造りを基調としたハイカラな邸宅を立て、東京に移転する昭和13年までここで活動したそうです。

 

次は北に行った奈良教育大学に残る建物、資料館の見学です。ここで尾崎リーダーから解説がありました。

奈良教育大学構内にあるこの資料館は旧陸軍の糧秣庫として明治41年に竣工したもの。濃いレンガが凛々しい印象を与える建物です。現在は美術品などの展示、収蔵して一般公開されているそうです。

 

本日のウオーキングはここでIVVをお渡しして、近鉄奈良駅、JR奈良駅、京終駅にそれぞれ都合の良い駅で帰れるようにここで解散です。 

 

本日はお疲れさまでした。本日の踏破距離は11km、参加人数は109名でした。

日頃見過ごす奈良に残る近代の建築物を巡るウオークはいかがでしたでしょうか? 

 

次回は天理から上街道を北上し、大安寺で稚児大師像を拝観するウオークです。