・11月3日例会報告

2016年11月3日(木)定例報告

   懐かしき愛宕山鉄道跡を歩く

   (愛宕山を目指した平坦線と鋼索線)

  JR嵯峨嵐山駅―嵯峨西駅跡―釈迦堂駅跡―鳥居本橋―化野念仏寺―鳥居本町並み保存館―清滝トンネル―清滝駅跡―清滝川駅跡―清滝トンネル―JR嵯峨嵐山駅

 

  今年は晴天、雨天が明確ではなく、また、コートを脱いだり着たりの寒暖が激しい秋の季節である。歩行の道中でも時折ポツリと数滴の雨が来る程度で、すぐに晴天に戻るというハプニングもあったが、早朝から晴天で、秋の日差しのさわやかなウオーキング日和でもあった。

 

今回のコースは嵯峨・嵐山から戦時中に「敗戦」ではなく「廃線」になった愛宕山鉄道跡の散策である。鉄道跡ではあるが現状は道路に舗装され、その面影はよほど気をつけないと見落としてしまう。これが、今回の醍醐味である。

 

宝塚の廃線跡ウオークのように、枕木が朽ちて残されているコースではない。「言われてみれば確かにそうだ!」という廃線跡なのである。京都で、しかも普通の観光で嵯峨野に来ていても知らずに通行してきた、ありふれた道路と思い込んでいたのだが、実は愛宕山登山電気鉄道跡であり、平地では電車、清滝からの急峻な斜面ではケーブルカーに乗り換えて、愛宕山の頂にある愛宕神社にお参りされてきた、歴史の生き?証人なのである。今回はこの生き証人の上を歩行したのである。

 

 10時、JR嵯峨嵐山駅に集合し、恒例の出発式のあとトロッコ列車の嵯峨駅横の路地から始まる。アスファルト道路を横断すると目前に陸橋が見える。これがまず初めて見る愛宕鉄道跡なのである。昔の愛宕鉄道では土砂による築堤であったが、今ではコンクリート製の高架である。昔、なぜ、こんなところに陸橋があるのか?不思議であったがその謎が解明できた。ウオーキングではこういう余得が思いがけずにやってくる。この、陸橋横に鉄製歩道橋があり、ここを降りると愛宕鉄道・嵯峨西駅跡が児童公園として残されている。昔の面影もなく、ただ、川べりの石垣が年輪を刻んでいるだけであった。

 

 北上して嵯峨小学校前交差点の歩道橋を渡り、初めて愛宕鉄道跡の道路へ出る。大正15年に提出された計画書では複線であったことが、この廃線跡道路の広さから伺える。少し北上すると釈迦堂駅跡が自治会館、その向かいの車庫跡も社屋に変貌している。釈迦堂の駅名は近くに嵯峨釈迦堂があるからである。

  

ここから北上するが、道路は左方向に緩いカーブを描いており、軌道半径を大きくして脱線を防ぐ鉄道跡であることを感じさせる。アスファルト道路と石垣の間にφ30cm程度の棒杭が撃ち込まれ朽ちている。これが鉄道架線柱の残骸である。電車のパンタグラフに電気を送り込む電線を支える電柱である。大正15年に電化で計画されていたことはやはり京は都であったということを痛感させられる。

  

杭を通過するとバス停があり、その横からUターンして路線跡道路下に降り、鳥居本橋を潜って化野念仏寺前に出る。ここから、奥嵯峨の静寂な観光道路になり、鉄道跡道路と決別する。町並み保存館を通過したすぐ右に古い石段があり、「この階段の上が鳥居本駅へと続く」との説明で、ええつ!という呻き声がした。今いる場所は嵯峨野の石畳道路であり、石段の上が先ほど歩行してきた愛宕鉄道廃線跡道路であったことを確認した。

 

 萱葺屋根に「あゆ」の暖簾のある茶店を通過する。弱った鮎を元気にするため「一時、ここで鮎を休ませて京の町に出荷された所」と周りの風情に合わない無粋な拡声器の声を響かせて通過する。

 

 おたぎ念仏寺付近で元の鉄道跡道路と合流する。目前に華奢な清滝トンネルが口を開けている。このトンネルは建設予算の関係で単線として車両がギリギリ通過できる程度の大きさで作られている。時折、バスが通過するとき、参加者は壁にへばりついて通過を待った。

 

 

 

 トンネルを出ると愛宕鉄道平坦線終着駅・清滝駅跡である。現在はバスターミナルである。このわき道を下ると昔は華やかであったであろうという香りを残す街並みに、朽ちた旅館の看板が見える。この街の突き当りがケーブルの清滝川駅跡である。ここで昼食になる。

 

 帰路は、昼食後Uターンして化野念仏寺を通過し、高瀬川開削の角倉が眠る二尊院、竹林トンネルの野々宮、天竜寺山門の紅葉寸前の青いモミジ、そして最後であるが愛宕山鉄道始発駅跡であった京福電鉄嵐山駅を通過する。外人観光でごった返す土産物屋の前を素通りして、渡月橋手前を曲がり、元のJR嵐山嵯峨駅に帰ってきた。

 

 今日のウオーキングは、光秀謀反を決断させた「愛宕参り」の参道の代わりに敷設されていた鉄道の痕跡をたどるコースであり、参加者147名は「トンネルを抜けると、そこは、まだ青い紅葉(モミジ)の清滝であった。」という初秋漂う風を頬に受けて帰路に就いていただきました。お疲れ様でした。

  

 本日のウオーキング距離は11kmでした。